商品ページ / ASO LENS GUIDE
カスタムプロダクトページとApp StoreのA/Bテストの違い
カスタムプロダクトページ(CPP)と商品ページ最適化(PPO、いわゆるApp StoreのA/Bテスト)は、どちらも「商品ページの見せ方を変える」機能ですが、仕組みも目的も別物です。この記事では、Appleの公式ドキュメントに書かれている上限・変えられる要素・ユーザーへの届き方・App Store Connectでの計測方法だけを整理し、書かれていないことは「書かれていない」と明記します。
公開日: 2026-10-15
2つの機能は何が違うのか
Appleの公式ドキュメントが述べている範囲で、両者の違いをまとめると次の通りです。
- カスタムプロダクトページ(CPP): 既定の商品ページとは別に、追加の商品ページを作る機能。固有のURLが発行され、そのURLを共有した相手や、割り当てたキーワードで検索した人に表示できます。
- 商品ページ最適化(PPO): 既定の商品ページに対して、アイコン・スクリーンショット・アプリプレビューの代替案(トリートメント)を作り、App Store上の一部のユーザーにランダムに見せて、結果を比べる機能です。
つまりCPPは「特定の相手や検索語に、専用のページを見せる」ための機能で、PPOは「どちらの見せ方がよく機能するかを比べる」ための機能です。なお、AppleのApp Store Connect Helpには「商品ページ最適化のテストは、カスタムプロダクトページには提供されていない」と明記されています。CPPそのものをPPOでテストすることはできません。
カスタムプロダクトページ:上限と変えられるもの
- 数: App Store Connect Helpは、アプリ1つにつき最大70ページまで作成できるとしています。
- 変えられる要素: スクリーンショット、プレビュー、プロモーションテキスト、キーワードです。各ページはローカライズでき、固有URLで共有できます。
- 作成の条件: 少なくとも1つの国または地域でReady for Distributionの状態にあるアプリで作成できます。プレオーダー中のアプリでも利用できると、Appleの商品ページは述べています。
- 対応OS: App Store上ではiOS 15・iPadOS 15以降で利用できます。
- 審査: ページに含めるメタデータは審査に提出する必要があり、アプリのアップデートとは独立して提出できます。承認されるまでユーザーには表示されず、承認されると変更が自動的に公開されます。
- ディープリンク: 任意でアプリ内のディープリンクを設定できます。iOS 18・iPadOS 18以降でユーザーが「開く」をタップしたときに、アプリ内の特定の場所に移動させる機能で、これも承認されるまで機能しません。
商品ページ最適化:上限と変えられるもの
- トリートメントの数: 1つのテストにつき最大3つです。Appleは、トリートメントを増やすほどテストが結論に達するまでの時間が長くなる場合があると述べています。
- テストできる要素: アプリアイコン、スクリーンショット、アプリプレビューです。プロモーションテキストやキーワードはテスト対象として挙げられていません。トリートメントは、別の素材を指定しない限り、元のアイコン・スクリーンショット・プレビューをそのまま含みます。
- 同時に走らせられる数と期間: テストは同時に1つだけ作成でき、最長90日、または90日以内に手動で停止するまで実行されます。
- トラフィックの配分: 「テストに割り当てる割合」を指定します。Appleの例では、トラフィックの40%をテストに割り当てトリートメントが2つなら、各トリートメントに全体の20%、元の商品ページに残りの60%が配分されます。
- ローカライズ: 対象にするローカライズを選べます(初期状態ではアプリが対応するすべてが選択済み)。テストから除外したローカライズで表示されたユーザーは、テストに含まれません。
- 前提条件: テストするにはアプリがReady for Distributionの状態である必要があります。代替アイコンを含める場合は、その全バリエーションを公開済みアプリのバイナリに含めておく必要があります。アイコンを含まないテストは、新しいアプリバージョンとは独立して審査に提出できます。新しいメタデータはApp Reviewの承認が必要です。
- 開始後の変更: Appleは「テストを開始した後は変更できない」と述べています。
- 必要なロール: Account Holder、Admin、App Manager、Marketingです。
ユーザーにはどう届くのか
CPPは、リンクまたはキーワードを経由した人にだけ表示されます。App Store Connect Helpは、「カスタムプロダクトページは、そのリンクをたどった人、またはキーワードを追加して検索結果に表示されるようにした場合にのみ表示される。それ以外では、すべての人に既定の商品ページが表示される」と述べています。Appleの商品ページが挙げている経路は次の通りです。
- 固有URLをソーシャルメディアの広告やプロモーションなどのコミュニケーションで共有する。
- Apple Adsのキャンペーン(Todayタブ・Searchタブ・検索結果の広告)から、特定のページに誘導する。
- 広告ネットワークがStoreKitでCPPのIDを指定する(SKOverlayの
customProductPageIdentifier、またはSKStoreProductViewControllerのSKStoreProductParameterCustomProductPageIdentifier)。 - Today・Games・Appsタブの編集コンテンツ(ストーリーやコレクション)に表示されることがある。
- キーワードを割り当てた場合に、そのキーワードの検索結果で既定の商品ページの代わりに表示される。割り当てられるのは、最新の承認済みアプリバージョンのキーワードです。ページが検索対象になるのは、承認され、かつ表示可能に設定された後だけです。
キーワードについてAppleは、ページの意図に合うキーワードを選ぶこと、そして各キーワードの組み合わせが1つの商品ページにだけ対応するようにすることを求めています。無効にしたCPPのURLを開いた人は、自動的に既定の商品ページにリダイレクトされます。
PPOは、ユーザーが経路を選ぶものではありません。Appleは、iOS・iPadOS 15以降のApp Storeで、ランダムに選ばれた一部のユーザーにトリートメントが表示され、そのユーザーはテスト期間中、App Storeを訪れるたびに同じトリートメントを見ると述べています。
App Store Connectでの計測
CPPの場合
Appleの商品ページによると、AcquisitionタブでCPPごとの商品ページ表示(impressions)、ダウンロード、再ダウンロード、コンバージョン率を確認でき、既定の商品ページとの比較もできます。ダウンロードした人のリテンションや有料ユーザー1人あたりの平均売上も、ページ別に確認できると書かれています。ただし、App Store Connect Helpによれば、これらの指標が表示されるのは、そのCPPが最初のダウンロードを5件以上獲得してからです。
PPOの場合
App Analyticsのサイドバーの「Acquisition」配下にある「Product Pages」から、テストごとの結果を確認します。表には次の項目が並びます。
- Unique Impressions: 各バリエーションを閲覧したユニークなデバイス数。
- Conversion Rate: 閲覧者のうちアプリをダウンロード(またはプレオーダー)した割合。
- Improvement: ベースラインと比べた相対的な向上率(コンバージョンリフト)。
- Confidence: 結果の統計的な信頼度。
ベースラインの初期設定は元の商品ページで、いつでもいずれかのトリートメントに変更できます。Appleは、信頼度が90%以上になったトリートメントに「Performing Better」または「Performing Worse」のラベルを付け、それ未満ならラベルを付けないと説明しています。テストが表示されるのは、そのテストに紐づく最初のダウンロードが5件に達してからです。「Collecting Data」「Likely to be Inconclusive」といったステータスもあります。
テスト作成時には、望む改善幅を選ぶと、アプリの既存データ(1日あたりのインプレッションや新規ダウンロードなど)にもとづく所要期間とインプレッション数の目安が表示されます。この目安はテストに影響せず、Appleは「90日以内に望む改善に届かない場合もある」と注意しています。
勝者のトリートメントを適用する操作は、1テストにつき1つのトリートメントに限られ、取り消せません。反映されるのはスクリーンショットとアプリプレビューだけで、アイコンを変えるには次のアプリバージョンで既定のアイコンとして設定する必要があります。実行中のテストにトリートメントを適用すると、テストは自動的に停止します。
どう使い分けるか
上で見た、Appleが書いている違いから導けるのは次の整理までです。
- 「どちらの見せ方がよいか比べたい」:比べる相手が既定の商品ページ、変えるのがアイコン・スクリーンショット・プレビューなら、PPOが用意されている手段です。CPPにはPPOのテストは提供されていないため、CPP同士や、プロモーションテキストの違いをPPOで比べることはできません。
- 「特定の広告・リンク・検索キーワードから来る人に、専用のページを見せたい」:CPPが用意されている手段です。固有URL、Apple Ads、キーワードの割り当てという届け方は、CPPにしかありません。
- プロモーションテキストを変えたい:Appleがテスト対象として挙げているのはアイコン・スクリーンショット・アプリプレビューだけなので、プロモーションテキストを変えられるのはCPP側です。
なお、Appleの商品ページは「CPPへ誘導すると、既定の商品ページの平均コンバージョン率1.6%に対し、平均で2.5パーセントポイント高い(156%増)」という開発者全体の平均値を紹介しています。これはAppleが集計した平均であり、個々のアプリで同じ結果になる保証ではありません。
変更の影響を数字で読み解くには、まず「コンバージョン率」の分母を揃える必要があります。詳しくはコンバージョン率の記事を、スクリーンショットの仕様や検索結果での見え方はスクリーンショットの記事を参照してください。
ASO Lensはこれをどう扱っているか
ASO LensはCPPやPPOのデータを読み取らず、テストも実行しません。コード上でPPOに触れているのは、診断シグナルacq_creative_test_ready(src/core/diagnosis/signals/creativeTesting.ts)が「テストの手段」としてPPOの名前を挙げる部分だけです。
このシグナルが出る条件は、ASO Lens自身が定めたしきい値(src/core/diagnosis/thresholds.ts)で、Appleの基準ではありません。
- Page Download Rate(Total Downloads ÷ Unique Product Page Views)が30%未満であること。すでに30%以上なら、このシグナルは出ません。
- Unique Product Page Viewsが1,000以上なら通常の確度で、250以上1,000未満なら低い確度で表示されます。
- 60以上250未満の場合は、あと何件のページ閲覧があれば低い確度の判定に届くかを知らせる情報(
acq_creative_test_more_data_needed)だけが出ます。60未満では何も出ません。
これらは「テストが成立するのに必要な閲覧数」を意味する数字ではありません。Appleはそのような必要インプレッション数を、固定値としては公開していません(次節参照)。ASO Lensのしきい値は、あくまで診断を出すかどうかの目安です。
Appleのドキュメントに書かれていないこと
CPPやPPOについては根拠のない通説が多いため、確認した範囲で「書かれていない」ものを挙げておきます(2026-10-15時点)。
- PPOでテストが成立するために必要な最低インプレッション数や期間(Appleが示すのは、アプリの実績データにもとづく所要期間の目安と、90%という信頼度のラベル基準だけです)。
- CPPに割り当てられるキーワードの最大数と、キーワード検索でどのページが選ばれるかの優先順位・ランキングへの影響。
- CPPを使うとキーワードの検索順位が上がるかどうか。
- CPPとPPOを同じ期間に併用した場合の相互の影響(PPOがCPPには提供されていないという記述はあります)。
- CPPのスクリーンショットなどの具体的な作り方についての「勝ちパターン」。
まとめ
CPPは最大70ページ、スクリーンショット・プレビュー・プロモーションテキスト・キーワードを変えられ、固有URL・Apple Ads・キーワード割り当てで届ける機能です。PPOは最大3トリートメント、アイコン・スクリーンショット・プレビューをテストし、同時に1テスト・最長90日、App Store上の一部のユーザーにランダムに見せて比べる機能です。計測はどちらもApp Store Connectで行い、PPOは信頼度90%以上でラベルが付きます。ASO LensはCPP・PPOの結果は読み取らず、商品ページ閲覧数とPage Download Rateからテストに値するかを診断するだけです。
ASO Lensは、商品ページ閲覧数とPage Download Rateを記録し、クリエイティブをテストできるだけのトラフィックがあるかどうかを診断します。CPP・PPOの結果そのものは読み取りません。
今すぐ始める出典
- Apple, “Custom Product Pages” — developer.apple.com/app-store/custom-product-pages(最大70ページ、スクリーンショット・プロモーションテキスト・アプリプレビューを変えられること、固有URL、Apple Adsなどでの利用、検索結果への表示、審査、Acquisitionタブでの指標の一次情報。2026-10-15に確認)
- Apple, “Product Page Optimization” — developer.apple.com/app-store/product-page-optimization(最大3つのトリートメント、アイコン・スクリーンショット・アプリプレビューをテストできること、同時に実行できるテストは1つで最長90日、トラフィック割合の例、ランダム割り当て、テスト開始後は変更できないこと、審査要件の一次情報。2026-10-15に確認)
- Apple, “Configure multiple product page versions” (App Store Connect Help) — developer.apple.com/help/app-store-connect/create-custom-product-pages/configure-multiple-product-page-versions(アプリ1つにつき最大70ページ、キーワードの割り当てと承認後にのみ検索対象になること、リンクまたはキーワード経由でのみ表示されること、iOS/iPadOS 15以降、App Analyticsの指標は最初のダウンロードが5件に達してから表示されること、の一次情報。2026-10-15に確認)
- Apple, “Overview of product page optimization” (App Store Connect Help) — developer.apple.com/help/app-store-connect/create-product-page-optimization-tests/overview-of-product-page-optimization(Ready for Distributionの状態が必要なこと、カスタムプロダクトページ向けのテストは提供されていないこと、必要なロール、勝者の判定が推定されるコンバージョン率の向上と信頼度に基づくことの一次情報。2026-10-15に確認)
- Apple, “Create a test” (App Store Connect Help) — developer.apple.com/help/app-store-connect/create-product-page-optimization-tests/create-a-test(トリートメントは最大3つ、トラフィック割合の指定、対象ローカライズの選択、テスト期間の目安、テストは90日または手動停止まで続くことの一次情報。2026-10-15に確認)
- Apple, “Apply a test treatment to your product page” (App Store Connect Help) — developer.apple.com/help/app-store-connect/create-product-page-optimization-tests/apply-a-test-treatment-to-your-product-page(適用できるのは1テストにつき1トリートメントで取り消せないこと、スクリーンショットとアプリプレビューのみが反映されること、実行中のテストに適用するとテストが停止することの一次情報。2026-10-15に確認)
- Apple, “View product page optimization results” (App Store Connect Help) — developer.apple.com/help/app-store-connect/view-app-analytics/view-product-page-optimization-results(結果の見つけ方、Unique Impressions・Conversion Rate・Improvement・Confidenceの定義、90%以上でPerforming Better/Worseが表示されること、ベースラインの変更、最初のダウンロードが5件に達してから表示されることの一次情報。2026-10-15に確認)